研究概要 |
ニ-マンピック病(NP病)のモデルマウスの正常の同系マウスの骨髄細胞を移植し、骨髄移植の有効性に関する基礎的研究を行った。また骨髄移植による移植骨髄細胞の治癒機構に関して、in vivoでの検討のために、C57BL/KsJ系の正常マウスにニ-マンピックマウスの骨髄細胞を移植して病理入主学的、生化学的に検討した。〔方法〕骨髄移植はBBRC113:605-610,1983に報告した方法で行った。NP病マウスに対する移植効在判定は、移植後3週間目にマウスを屠殺し、組織の一部をホルマリン固定ならびに電顕用にグルタ-ルアテヒド固定した。また正常マウスに対してNP病マウス骨髄細胞を移植した群は、移植後3週、5週、8週で屠殺し、病理細織学的検輸を加大た。肝組織の細胞分画は、Hogeboomの方法で、sphingomye linase(SMase)活性の測定はKanferらの方法を測定した。〔成績〕1)従来、内臓器持に脾臓でのSMase活性の上昇はほぼ正常マウスと同値にまで被移植SM病マウスに認められていた。肝に於てもSMase活性は明らかに上昇し、この活性上昇と平行して組織学図にも泡洙細胞の著減と生化学的にコレステロ-ル、スフィンゴミエリンの減少を認めている。電顕所見では、内臓器に認めたMCBの空胞化が脳細胞にも認められており、骨髄移植の効果は脳内にも及ぶことが実証出来た。しかし、生化後的分析法での修復の実証は脳では困難であった。2)従来、移植後の細胞による修復機構は、in vitroの実験から正常ライソゾ-ム酵素が異常細胞のライソゾ-ムに取込まれて、修復する場合と直接細胞同志が接触して修復する場合とが考えられていた。今回の実験結果から、移植された細胞は血管に沿って組織内に定着後、そこで増殖し、一部は従来の機構で修復すると共に、独自に増生した組織で異常代謝を嬌正する機構があるものと考えられた。
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