研究課題/領域番号 |
63480241
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
小児科学
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
北川 照男 日本大学, 医学部・小児科, 教授 (50058765)
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研究分担者 |
崎山 武志 日本大学, 医学部・小児科, 講師 (20130510)
大和田 操 日本大学, 医学部・小児科, 助教授 (40059506)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1990
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キーワード | 先天性代謝異常症 / ライソゾ-ム蓄積症 / ニ-マンピック病 / ライソゾ-ム / 骨髓移植 / sphingomyelinase / sphingomyelin / 動物モデル |
研究概要 |
研究代表者の北川が発見し、同定したニ-マンピック(NP)病マウスに正常の同系マウスの骨随を移植し、その効果を細胞小器官のレベルで研究すると共に、NPマウスの骨随を正常の同系マウスに移植して、その影響を肝と脳の細胞小器官を分離して研究した。脂質が蓄積しているこれらの組織の細胞小器官を分離するには、これまでの方法では不可能でsucroseとpercollの濃度を変えて各小器官のマ-カ-酵素の分布を追跡して、各分画を分離する必要があることが明かにされた。この方法を使用してlysosomeを分離し研究を行った結果、NPマウスの肝と脳のlysosomalacid sphingomyelinase活性は著しく低下しており、肝lysosome分画のsphingomyelinとcholesterol含量が明らかに増加しているのを認めた。このSPマウスに同系の正常マウスの骨随を移植したところ、肝lysosomeのsphingomyelinaseは上昇し、lysosomeのsphingomyelinおよびcholesterol含量は低下した。すわなち骨随移植によって移植された正常骨随細胞がNPマウス内で増殖し、acidsphingomyelinaseを産生しこれがNPマウスの肝lysosomeに移行した可能性があるが、一方移植細胞がNPマウスの肝kupffer等に分化して代謝を正常化した可能性もある。脳についてはNPマウスに正常の同系マウスの骨随を移植しても、lysosomeの酵素活性や脂質の含量に明かな差異を見出せなかったが、NPマウスの骨随細胞を同系の正常マウスに逆移植したところ、脳のlysosomeの比重がやや変化し移植細胞の一部が脳内に移行すると思われた知見が得られた。以上の成績から、ライソゾ-ム蓄積症に対する骨随移植療法は、正常の酵素活性を有する移植した細胞の一部がそのまま増殖して、代謝の正常化を果していると共にそれから放出されたenzymeが患者の組織のlysosomeにとり込まれて、代謝の正常化を行っているものと思われた。また、脳においては、移植細胞の効果は仲々波及し難いが、一部は移行して代謝の正常化を行うものと考えられた。
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