研究概要 |
1.TGFーbetaの表皮ケラチノサイトの増殖および分化に対する影響を検討したところ、増殖に対しては抑制的に作用し、細胞周期のG_1/G_0を増加させることが判明した。また、この作用は可逆的であった。細胞の分化に対しては、TGFーbetaは低Ca^<2+>条件下では抑制し、一方、高Ca^<2+>条件下では促進するというbidirectionalな作用を持つことが明らかになった。 2.TGEーalphaの尋常性乾癬における役割を検討したところ,免疫細織化学的には正常表皮では上層に存在する傾向があり、尋常性乾癬病変部では正常表皮に比べるとより広範囲に基底細胞層を除く全層にTGEFーalphaは存在した。また、両表皮中のTGEーalphaをElisa法にて測定したところ1.45mg/g of wet tissueに対し 尋常性乾癬病変部では6.71mg/g of wet tissueと増加していた。 3.ILーbの表皮ケラチノサイトの増殖および分化に対する影響を検討したところ,培養表皮ケラチノサイトの増殖を促進し,また免疫細識化学的に検討したところ,ILーbおよびILーb受容体ともに表皮の基底細胞層に局在することが明らかになった。分化に対してはほとんど影響を与えなかった。 4.Pateletーdarived endothelial cell growth factor(PDーECGF)の表皮ケラチノサイトに対する影響を検討したところ,増殖およびDNA合成を促進することが判明した。しかし,分化には大きな影響を与えなかった。 5.表皮ケラチノサイトの分化に対する影響を定量的に測定する目的で Flowcytometryを用いて,ヒト表皮ケラチノサイトの分化マ-カ-であるinvolucrin陽性細胞を測定する方法を開発した。
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