研究課題/領域番号 |
63480247
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
山口 昂一 山形大学, 医学部・放射線医学, 教授 (00091843)
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研究分担者 |
駒谷 昭夫 山形大学, 医学部・放射線医学, 講師 (10107188)
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キーワード | Cerebral blood flow / Dementia / Single photon emission CT / Xeー133 |
研究概要 |
本研究において、脳血流測定値の精度の向上は重要課題のひとつである。測定誤差の因子には測定手技上の技術的因子と被検者の生理的因子があることが判った。技術的因子として、スパイロバッグの容量や頭部デ-タ収集開始のタイミング、および散乱線などがあり、それらの因子に対する対策はほぼ呼気確立することができた。一方、被検者の生理的因子としては血中炭酸ガス分圧が最も重要な因子と言われているが、その変動の実態を把握し、終末CO_2濃度による補正の方法も確立した。すなわち、終末呼気CO_2濃度は血中炭酸ガス分圧と極めて高い相関を示し、呼吸パタ-ンや体温、および外来か人院かの条件によって脳血流測定値の再現性上無視できない程変動することが判った。過去のデ-タベ-スより終末呼気CO_2濃度の変動に対する平均脳血流の変動率を算出し、補正式を求めた。この補正により、健常者の平均脳血流の年令分布の分散が著明に小さくなったこと、および痴呆朋者の脳血流の経時的変化が臨床症状とよく一致するようになったこと等より、極めて有用な補正法と評価される。 以上の測定精度向上のための手法を駆使して老年期痴呆や健常者の脳血能流測定デ-タ解析を行った結果、(1)アルツハイマ-およびアルツハイマ-型老年痴呆の側頭頭頂部の納血流低下の程度は、長谷川式簡易知的機スケ-ルの低下と極めて強い相関を示す。(2)しかし、多発梗塞性痴呆では、側頭頭頂のみならず全脳の平均脳血の流低下とも相関しない。(3)健常者の脳血流は、5才未満で約100ml/100g/minで成人のほぼ2倍であるが成長とともに急激に低下しそれ以降は緩やかに減少する。そして、緩やかになる年令は男24才、女22才、また成人期以降は女の方が男より高い脳血流を示す。等の結論を導き出すことができた。
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