老年期疾呆などの精神疾患における脳血流の測定では、病態の変化に伴う経時的な脳血流の微細な変化を捉えることが必要であるため、測定系の高い精度と再現性が特に要求さめる。精度と再現性向上のための3ケ年の研究実績の概要を年次順に以下に記す。 1.Xeー133ガスの限られた投与量(1850MBq)で、空間分解能と感度の最適なバランスを得るための新しいコリメ-タを設計し、デ-タ収集のアルゴリズムも修正した。この新しいコリメ-タシステムでは感度は13.5kcps/μCi/ml、空間分解能は20cmφファント-ム中心部で13.6mmFWHMの性能を得ることができた。 2.SPECT装置(HEADTOME)のシステムソフトウェアの増大、および測定デ-タのデ-タベ-スを構築するため、320MBのハ-ドデスクを増設した。一方、疾呆患者等の精神疾患患者、および健常者の脳血流測定を行い、それらのデ-タ蓄積を重ねた。 3.測定誤差の種々の因子に対する補正等の対策を講じて、蓄積された測定デ-タの解析を行った。健常者の脳血流の年令分布や男女差、および脳容積との関係を解析し、測定精度や再現性の評価を行った。また、疾呆患者の脳血流の経時的変化と病態変化との対比を行った。 以上、一連の研究により、Xeー133吸入法による脳血流測定値の精度と再現性、及びSPECT画像の空間分解能において、明らかに一歩前進の成果をあげる事ができた。
|