研究課題
核医学的手法は肺局所の血流分布の把握が可能であるが、現在迄のプラナーによる検討では二次元的であり定量的評価が困難であった。新しい三次元表示の可能なシングルフォトンエミショントモグラフィ(以下SPECT)を用いれば局所肺血流の相対的定量評価が可能である。術前に肺癌患者に血流量を定量的に評価して残存肺機能を予測し術後に発生する呼吸機能不全を未然に防ぐことを目的として以下の実験を試みた。検討項目ならびに結果1.肺ファントムを用いて機能的体積測定法のソフトの開発と精度の検討 SPECTによる体積の測定法は、諸家により報告されているがこれらはいずれも、あるレベルより高い部分を同一の体積として評価しており、機能を反映したものではない。私共は、血流の多寡が体積に反映するSPECTによる機能体積の測定法の開発を行った。肺ファントムに既知の放射能活性溶液を入れ種々の条件下で測定した所、血流の分布に応じた体積の測定が可能となった。2.臨床応用現在臨床応用に入り二次元的方法と私共の新しい方法の両者の精度の比較を行っている。SPECTを用いると従来の二次元的プラナーイメージに比べて、三次元のため残存予測肺の設定の精度が高くなることが期待される。3.心拍出量を加味し局所肺動脈血流量の測定現在、心カテーテルによるシュワン・ガンツ法と放射能による測定法の両者の相関を検討中である。局所肺血流の絶対量の測定表示が可能となる。4.呼吸機能検査値との関連未だ充分な臨床例がないが、1.が完成しているので、臨床例の蓄積により検討可能となる。
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