研究概要 |
体外より門脈血流量の絶対値を測定する方法を確立するために^<133>Xe洗い出し法とバルーンカテーテルを用いた新しい門脈血流量の測定法を確立し、測定法の再現性、肝血流の均一性の検討を行った。 肝悪性腫瘍を疑われて腹部血管造影が施行された患者を対象にした。これらは対照群、慢性肝炎群、肝硬変群の3群に分類された。 I.血流測定法:カテーテルを総肝動脈、または固有肝動脈まで挿入し、それより^<133>Xeを注入する。門脈血流量を測定するために考案した方法は、エンドホールのバルーンカテーテルを固有肝動脈まですすめ、^<133>Xe注入後、バルーンを膨ませて固有肝動脈の血流を遮断する。これにより肝内に注入された^<133>Xeは門脈血によってのみ洗い出されることになり、門脈血流量の測定が可能になる。一方、肝悪性腫瘍の治療目的にて、門脈にカニュレーションした患者に対しては、門脈カニューレより、^<133>Xeを注入して総肝血流量の測定を行った。^<133>Xeワンショット注入後、肝臓部の時間・放射能曲線を作成し、コンピューターシステムを用いて次式に基づいて局所肝血流量Fを算定した。 F=100×K+λ/ρ(λ:分配係数,ρ:肝比重) 本法による血流量が肝右葉と肝左葉で同じか否かを検討した結果、右葉47.1±17.6,左葉45.1±12.9と有意差は認めなかった。即ち肝血流の均一)が示された。一部症例で局所門脈血流量および局所総肝血流量を少なくとも30分以上の間隔で二度測定したが、本法の再現性は良好であった。また^<133>Xeを肝動脈から注入する場合と門脈より注入する場合で、局所総肝血流量の値に差が出るかどうかを3例で検討したが、両測定法の値はよく一致した。局所総肝血流量は対照群では71.53±10.01ml/100g/min,慢性肝炎群では78.51±13.47ml/100g/min,肝硬変群では49.87±14.95ml/100g/min,と肝硬変群では有意に低下した。
|