研究課題/領域番号 |
63480256
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山下 格 北海道大学, 医学部, 教授 (60000923)
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研究分担者 |
松原 繁広 北海道大学, 医学部, 助手 (40142731)
小山 司 北海道大学, 医学部, 助教授 (10113557)
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キーワード | メトアンフェタミン / ドーパミン / セロトニン / 脳内透析 / ストレス |
研究概要 |
昭和63年度はすでに分裂病モデルとして当教室で検討してきたメトアンフェタミン(2.5〜10mg/kg)隔日漸増投与による覚醒剤中毒モデルについてシナプス前及び後について系統的に検討・吟味し以下の知見が得られた。 1.芳香族アミノ酸脱炭酸酵素阻害剤NDS1015 100mg/kg投与後のDOPA、5-HTP蓄積値を脳内格部位で測定し、NE、5-HT合成過程への影響を検討した結果、NE、DAの生合成は線条体で亢進していた。DAの代謝産物であるDOPAC、HVAには変化を認めなかった。 2.シナプス前におけるモノアミン再取り込み部位を^3H-GBR12935、^3H-Paroxetime結合実験によって、各々DA、5-HTについて検討した結果、明らかなDA、5-HTの再取り込み部位数の低下を認めた。また^3H-DA取り込み実験によっても取り込み能低下が認められた。 3.シナプス後の検討としてDA受容体のサブタイプであるD_1、D_2受容体のKd,Bmaxを受容体結合実験により検討したが変化はみられなかった。 4.脳内透析実験によってメトアンフェタミン前処置後の急性拘束ストレスの影響を検討したところ、メトアンフェタミン前処置により明らかなDA放出の増強が認められた。これは交叉現象の生化学的基盤を示唆するものと思われた。 以上のように覚醒剤中毒モデルにおいてはシナプス前についてはDA、NEの生合成の亢進とDAの再取り込み能及び部位数の低下が、またシナプス間隙についてはストレス時のDA放出の増強が認められた。しかし、シナプス後の受容体レベルの変化は認められなかった。今後昭和64年度以降、DA遊離実験、adenylate cyclaseについても検討し、またうつ病モデルについても同様の検討を進めていく予定である。
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