研究課題
本研究は精神分裂病の大脳機能を多元的に検査し、多変量解析によって解析するものである。以下に各検査毎の本年度の成績を述べる。1.CT所見の評価法については、CT装置よりフロッピーを介して吸収度データを直接マイクロコンピュータに読み込み、脳室等の分裂病者大脳の各部分の形態学的萎縮の程度を定量評価するプログラムを開発中である。現在は吸収度データを2値化した後に生じる脳室等の辺縁のアーチファクトを除き、境界をスムージングする数学的処理について研究中である。2.局所脳血流量測定については、1-123-IMPを用いたSPECTによって脳血流所見を測定している。しかし、本学が購入を予定していたデジタル・ガンマ・カメラの納入が遅れたため、検査開始が遅れ、現在迄に健常者12人の測定が終了したところである。また、血流量の定量評価については、従来は動脈血採決を必要としていたが、新たに、加温による動静脈シャント開通を利用して、静脈血のカウントから動脈血カウントを近似定量する方法の工夫を行っている。なおこの12例についてはCT検査を行い、吸収度データの収拾を終了した。3.脳波等電位図については、適切な誘発刺激の選定と測定条件についての調査を28例の正常対象者について試用を行った。また局在が判明している12例の脳腫瘍について徐波の出現部位との関連を見たがmeningiomaなどの神経実質に侵襲の少ない主要については徐波の出現は少なく、blastomaなどについては侵襲部位に一致した徐波の局在を認めた。脳波等電位図による徐波所見は、神経実質の障害の局在を反映しているとする基礎資料になると考えられる。