研究課題/領域番号 |
63480262
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研究機関 | 国立精神・神経センター |
研究代表者 |
林 時司 国立精神・神経センター, 神経研究所・診断研究部, 室長 (20082985)
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研究分担者 |
成瀬 浩 国立精神, 神経センター・神経研究所・疾病研究第三部, 客員研究員 (10159080)
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キーワード | テトラヒドロカルボリン / 負イオン化学イオン化質量分析法 / 高速液体クロマトグラフィ- / 安定同位元素トレ-サ-法 / 血液脳関門 |
研究概要 |
テトラヒドロカルボリン類はPictetーSpengler反応によって、インド-ルアミン類と各種アルデヒドから生成する化合物で、MAOの阻害作、セロトニンのuptakeの阻害作用等興味ある活性を有することが知られている。また、生理的条件に近い条件においても容易に生成すること、ならびに、微量ではあるが生体内にも存在することが報告され、精神神経疾患との関わりが注目されるようになってきている。今年度は、トリプタミンから生成すると考えられるlーmethylー1.2.3.4ーtetrahydroーβーcarboline(MTBC)ならびに1.2.3.4ーtetrahydroーβーcarboline(TBC)に関する研究を実施し、以下のような成果を治めることが出来た。(1)テトラヒドロカルボリンの分析法を開発する際には、試料中に存在する量が微量である上に、前駆物質であるインド-ルアミンが、試料中あるいは使用する試薬中に存在するアルデヒドと反応し、操作中にテトラヒドロカルボリンが生成するといた難問があったが、GC/NICIMSあるいはHPLCを利用する高感度測定法を開発するとともに、新たにfluorescamineを利用する有効な前処理法を考案することにより、信頼性の高い分析法を確立した。(2)MTBC、TBCは尿中に比較的多く検出されるが、少なくともそれらの大部分は外因性の物質であることが確認された。(3)これら物質は容易に血液脳関門(BBB)を透過でき、しかも脳組織に対して親和性の大きな物質であることが分かった。(4)健常人の尿試料の分析から、これらの物質の体外への排せつに酵素反応が関与している可能性を示唆する結果が得られ、MTBC、TBCのように精神薬理学的に活性で、BBBを透過するような物質に対する生体の防御機構と各種精神の疾患との関係を考える上で興味深い結果であると考えられる。これらの問題については、今後の研究課題としたい。
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