細胞内イオン化カルシウムが内分泌細胞・外分泌細胞の顆粒放出に重要な働きをしていることはよく知られている。我々は昨年度の研究においてRINm5F細胞において細胞の分泌刺激となるK^+イオンを作用させると、外国から細胞内へCa^<++>が流入し、それが比較的均一に分布することを確かめた。 本年度は作用機序の異るカルバミ-ルコリンを作用させそれによるインスリン分泌と細胞質遊離カルシウム分布を検討した。カルバミ-ルコリンは初期のインスリン分泌を促進するばかりでなく、細胞質カルシウムを不均一に増加させること。外液中のカルシウムが存在しなくても細胞質内遊離カルシウムは増加すること、また同時に観察する位相差像により、まだ十分確認されてはいないがそのカルシウムは細胞質に分布する小胞体系より遊出されるらしいことが判明した。位相差顕微鏡像を細胞質カルシウムと同時に観察することが出来るようになったため細胞質内の小器官と遊離カルシウムの変化との関係がより明確に出来る可能性が出て来た。しかしきわめて〓い拡大像であるため各オルガネラを確認するためには画像処理が必要であり、これに関する今後の機器の拡充が必要であることを感じた。 以上の結果は従来生化学的に推定されていた現象を時系列的に生きた細胞内で確認しえたことに意義があり、この結果は本年度の報告書にまとめると同時に原著論文としてまとめ投稿の予定である。
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