研究概要 |
1.ヒト甲状腺細胞由来成長因子(Thyrocyte-derived growth factor;TDGF)を、培養甲状腺細胞のConditioned Medium中から、FRTL-5細胞のチミジン取込み刺激を指標として、セファクリルS-200によるゲル濾過と、HPLC装置を用いオクタデシル・カラムによる逆相分配クロマトグラフィ-によって、純化・精製した。 2.精製TDGFの物理化学的性質及び生物学的性質を明らかにする目的で、クロラミンT法によって、^<125>Iで標識した。この^<125>I標識TDGFは、2段のゲル濾過法によって、単一ピ-クにまで再度純化された。 3.^<125>I-TDGFを電気泳動法とオ-トラジオグラフィ-によって分析した。^<125>I-TDGFは、SDS-PAGEによって、還元・非還元によらず、見かけ上の分子量4000の位置の単一バンドとして泳動された。また、等電点電気泳動法によって、酸性域のp14.5の位置にやはり単一のバンドとして泳動された。これら2種の電気泳動において、^<125>I-TDGFは、同時に流した^<125>I-IGF-Iと明らかに区別された。 4.^<125>I-TDGFのFRTL-5細胞膜への結合を検討したところ、非標識TDGFによって濃度依存正に抑制される特異的結合を認めた。この^<125>I-TDGFのFRTL-5細胞への結合は、種々の既知の成長因子(IGF-I,IGF-II,EGF,FGF,PDGF,NGF,Insulin,IL-1,TSH)の充分量によっても全く抑制されなかった。また、タイプI IGF受容体を有することが明らかにされているヒト胎盤膜においては、^<125>I-TDGFの特異的結合を認めなかった。 以上のごとく、TDGFの性質分析と純化の作業は順調に進行しており、支配DNAの解明を目指している。
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