研究課題/領域番号 |
63480273
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
齊藤 壽一 自治医科大学, 医学部, 教授 (10048994)
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研究分担者 |
本多 一文 自治医科大学, 医学部, 研究生
福田 修一 自治医科大学, 医学部, 助手 (60218922)
石川 三衛 自治医科大学, 医学部, 講師 (70112620)
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研究概要 |
ラットにおいて脳内バゾプレシン(VP)がストレス惹起性の病態発症に及ぼす役割についての研究を前年度より継続、発展させた。実験は遺伝性VP欠損ラット(尿崩症ラット、Brattleboro株、DI)を用い、平成元年度は特に自然発症高血圧ラット(SHR)における電撃ストレスによる血圧上昇促進効果における中枢性VPの役割に検討を加え、前年度より継続した水浸拘束ストレスによる胃潰瘍発症及びストレスによるACTH分泌と平行して実験を行なった。 SHRのストレス惹起性昇圧促進については、SHRとDIの交配によって得た尿崩症保持ーSHR(SHRーDI)を基幹株とし、これとSHRとの交配によって得られたVP半欠損株(SHRーDI Hetero)を作成した。生後6週令のSHRーDI HeteroとVP異常を持たないSHRを対照として、光、音および床に電流が流れると足電撃ストレスを1日30分間、連日負荷した。ストレス加SHRーDI Hetero、対照SHRーDI Hetero、ストレス加SHRおよび対照SHRの4群について週1回、無麻酔下で尾動脈圧を測定した。その結果ストレス加SHRでは9週目にはSHRに比して有意に高い血圧を認めた。一方、SHRーDI Heteroではストレス加群とストレスなしの群の間に血圧と上昇度に有意の差を認めなかった。このことは、ストレス負荷によるSHRの昇圧が中枢性VPの存在に依存している可能性を強く示唆している。この実験は当初、SHRとSHRーDIの対比において中枢性VPの役割を検討すべく計画されたが、多尿をもつSHRーDIはストレス負荷によって死亡する動物が多く、VPの半欠損によるSHRーDI Heteroを用いて研究を遂行した。
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