研究概要 |
微量の試料から多種のステロイドホルモンの同時分析を行ない新生児およびステロイドホルモン産生異常者のステロイド分泌パターンの検討を行った。昭和63年度は先ずステロイド分析の正確な測定系の開発を行った。血漿100μlからステロイドをエーテルで抽出し、抽出物をNS-GelC_<18>3μm、4.6×250Mmm i.d.のカラムと移動相水:メタノール逆相分配系による高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて3β、hydroxy-5eneステロイド(preg-nenolone,17hydroxypregnenolone,dehydroepiandrosterone),3-oxo-4eneステロイド(progesterone,17hydroxyprogesterone,11-deoxycortisol,21-deoxycortisol,cortisol,deoxycorticosterone)androgens(androstenedione,tostosterone)およびestrogens(estrone,estradiol)の分取を行った。なお^4△-ステロイドは240nmのUVでう^5△-ステロイドは210nmのUVでモニターした。各ステロイドのHPLC上の保持時間はC.V.で0.09%-0.32%と精密に分取可能であった。各ステロイド分画を各々のradioimmunoassayにより定量した。測定感度1pgと正確で感度の良好な微量試料中の多雑ステロイド同時分析系を確立することができた。 この系を用いて正常新生児の血漿100μlより13種類のステロイドホルモンの分析を行った。新生児の血中ステロイドホルモンのパターンは男女差はandrogen,estrogenを含めて明らかでなく、pregnenolone,17hydroxypregnenolone,dehydroepiandrosteroneなどの^5△系ステロイドがcortisolを除く^4△-ステロイドに比較して高値を示した。Cushing症候群でも同様にして血中ステロイドホルモン分析をすることにより副腎腺腫および副腎過形成各々の特有なパターンを解析できた。 昭和64年度にはこの方法を利用して微量の試料しか入手できない新生児のステロイド分泌の異常更には乾燥濾紙血を用いてステロイド異常症の診断を行う。
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