研究課題/領域番号 |
63480278
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
小熊 信夫 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助教授 (10034646)
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研究分担者 |
田中 公夫 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助手 (70116622)
丹羽 太貫 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助教授 (80093293)
鎌田 七男 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (00034629)
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キーワード | bcr再構成 / Philaselphia染色体 / 慢性骨髄性白血病 / 骨髄増殖症候群 / 骨髄異形成性症候群 / in vivo selection assay / 多発性骨髄腫 |
研究概要 |
過去1年間に扱った慢性造血器腫瘍の内訳は以下のごとくである。骨髄異形成性症候群(MDS)48例、骨髄増殖症候群ー慢性骨髄性白血病(CML)50例、多血症(PV)、骨髄線維症(MMM)、血小板血症など18例、成人T細胞性白血病5例、多発性骨髄腫4例である。これらの症例について骨髄液、末梢血、リンパ節などの細胞よりギムザ分染法による染色体分析をするとともに、フェノール・クロロホルム法にてDNA抽出を行った。MDSの1例でPhiladelphia(Ph^1染色体)を認めた。3′bcr(break point cluster region)プローブ(Hind III-Bg1 II:1.2kb)、5′bcrプローブ(Hind III-BamH I:0.6kb及びBgl II-Hind III:2.0kb)にてDNA解析をしたところ、bcr再構成を認めず、bcr(5.8kb)内や5′側12kbからbcrの3′側10kbの範囲内には切断点は存在しないと考えられた。CMLの中でも細胞遺伝学的に興味ある3症例がみつかったのでbcr遺伝子の解析を行った。masked Ph′染色体例:遺伝子解析の結果、切断点はbcr内のHind III-BamHI:0.6kb範囲内にあり、かつbcrの3′側に欠失と判定。complex Ph′染色体例:t(7;9;22)(p13;q:34;q:11):リンパ球性初診急転型。遺伝子解析から切断点はbcr内のHind III-Bgl II:1.2kb範囲と判定。i(22q)例:顆粒球性急転例。初診時は標準型Ph′染色体のみであったが、急転時に付加異常としてi(22q)をほぼ100%に認めた。遺伝子解析から切断点はbcr内BamHI-Hind III範囲にあった。またバンドの濃度はgerm line bandの2倍あり、染色体所見と一致した。慢性期及び急性期の両期の切断点の比較では20例中2例に再構成の変化を認めた。患者DNAとpSV2 Neo遺伝子DNAとをマウスNIH3T3細胞にco-transfectし、生じたtransformant細胞をヌードマウス皮下に移植するin vivo selection assay法にて骨髄腫2例にtransform遺伝子としてN-ras遺伝子を検出した。今後は症例の蓄積とともに臨床データとの関連性についても検討する予定である。
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