研究課題/領域番号 |
63480284
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
草野 満夫 旭川医科大学, 医学部, 講師 (70091569)
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研究分担者 |
木下 透 旭川医科大学, 医学部, 助手 (90211200)
櫛部 郎 旭川医科大学, 医学部, 助手 (60211207)
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キーワード | 悪性度 / 前癌病態 / 異数倍体 / S期細胞 / 化学発癌 / 再生結節 / 多倍体化 / 肝切除 |
研究概要 |
昭和64、平成元年度の研究成果は以下のごとくである。1.肝硬変におけるmalignant potentialの解析:本実験では、この四塩化炭素急性肝障害時および反復投与におけるDNA ploidy patternの検討を行った。正常肝、6週投与、10週投与と次第にS期細胞の出現は減少しているが、2週投与後では6週投与後よりも減少していた。本実験の全経過中にmalignant potentialを示唆するaneuploidy(異数倍体)の出現は認められなかった。本法を利用した壊死細胞およびそれにひき続くDNA合成細胞の定量化は、急性肝障害あるいは慢性肝障害時の各種治療薬剤を検討するモデルとして、肝硬変時の細胞動態を知るうえで有用であると思われた。臨床肝硬変組織についても同様に検索したが、多倍体化傾向と18%にaneuploidyの出現が見られたが、malignant potentialityとの相関性は見い出しえなかった。2.前癌および実験肝癌の細胞動態:本研究では化学発癌物質として2-Acetylamino fluorene(2-AAF)ラット肝に作成した前癌病変であるHyperplastic nodule((HN)の初期と後期、さらに分化型Hepatomaとを肉眼的・組織学的・細胞動態的に検討した。BrdU染色ではHNによりL.Iが著しくばらつき3-8%と幅があった。個々のHNについても陽性肝細胞の分布は均一でなく、巣状に集中してみられるところも多かったが特に組織の異型性との間に関連は見られなかった。3.臨床検体での肝癌の細胞動態解析:解析可能となった50症例中DNA aneuploidy(Da)は34例、68%にみられた。つぎに肝切除例29例について生存率をKuplan-Meier法で比較検討すると、1年生存率DNA diploidy(Dd)では100%であるのに対しDaでは67%と低下し、2年生存率においてもDdでは69%でDa群では38%と有意に低下していた。DNA ploidy patternと肝癌の予後との相関性が示唆された。
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