研究課題/領域番号 |
63480284
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
外科学一般
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
草野 満夫 旭川医科大学, 医学部, 講師 (70091569)
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研究分担者 |
木下 透 旭川医科大学, 医学部, 助手 (90211200)
櫛部 朗 旭川医科大学, 医学部, 助手 (60211207)
加藤 一哉 旭川医科大学, 医学部, 助手 (70175280)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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キーワード | 肝硬変 / 肝細胞癌 / 悪性度 / DNA量 / 異数倍体 / フロ-サイトメトリ- / 実験肝癌 / 多倍体化 |
研究概要 |
肝硬変は、肝の繊維化を主体とする慢性進行性の不可逆的病態であり、現在その進行を阻止するいかなる治療法もなく食道静脈瘤、肝不全、肝細胞癌などを併発し死の転帰をとる。肝癌の約7割は、この肝硬変を合併している。また、小肝癌といえども、高率に門脈転移をきたし、治癒切除症例での高頻度の再発が問題となっている。もし肝硬変が肝癌へと進展する「Malignant potential(悪性化への度合)」を把握でき、また再発と予後推定が可能であれば、肝癌の予防と治療に大きく貢献しうる。本研究ではフロ-サイトメトリ-(FMC)法を用い、肝硬変については核DNA ploidy patternと悪性ポテンシャル「Biological malignant potential factor」との関連性、肝癌については臨床予後との相関性を検索した。まず、肝臓は細胞分散がの困難なため、その単離法を検討した。酵素細胞分散、Detergent-trypsin法を導入、短時間で多数の臨床肝検体を測定する方法を応用・開発しえた。さらに実験的にラットに慢性肝炎・肝硬変・実験肝癌モデルを作製して、本課題について検討した。CCL_4肝硬変では、aneuploidyの出現は見られなかったが、多倍体化が進行しており、この事実から巨大肝細胞核の異常分裂により生じた単一クロ-ンからの癌化が推定された。これは自然発症肝炎・肝癌ラット(LECラット)のFCMによるDNA分析によっても確められている。さらに化学発癌ラット肝を用い前癌病変であるhyperplastic nodule,および分化型hepatomaについても検索し、細胞動態的に興味ある知見が得られた。発癌機構の解明にはより詳細な遺伝子レベルでのアプロ-チが必須であるが、本研究での実験および臨床肝硬変・肝癌でのDNAaneuploidyの検出、さらにモノクロナ-ル抗体による肝癌腫瘍マ-カ-の開発の試みは肝炎・肝硬変の発癌リスクの予知を一歩前進したといえよう。
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