研究課題/領域番号 |
63480286
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
小山 研二 秋田大学, 医学部, 教授 (80004638)
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研究分担者 |
田中 淳一 秋田大学, 医学部, 助手 (30171763)
浅沼 義博 秋田大学, 医学部, 講師 (20142937)
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キーワード | 肝障害と核内DNA / DNA損傷・修復 / 癌遺伝子 / 肝硬変から肝癌へ / S期細胞標識率 / DNAヒストグラム / 各種ヒト肝疾患について / 癌遺伝子 |
研究概要 |
1.基礎的研究:(1)thioacetamideを1回腹腔内に投与することで生じるラット肝細胞核内DNA損傷、修復を各々necl translation,unscheduled DNA syphesisで測定し、DNA損傷は投与24時間後に最大となり、その修復合成は48時間後に最大を示した。この期間の癌遺伝子の発現をNothern blottingを用いて検討し、C-mycが投与24〜48時間にかけて発現を亢進を認めた。これは細胞が障害を受け、DNAの損傷が引き金となりmyc遺伝子の発現が亢進し、修復合成がおこり、回復するという一連の機構の存在を示唆する。 (2)thioacetamideを長期連続投与すると、投与後4ケ月で肝硬変、6ケ月で胆管細胞癌類似の組織像を呈し、7ケ月には癌が腫瘤を形成する。BrdvによるS期細胞標識率は、肝細胞では、投与後1ケ月に高いピークと4ケ月前後に低いピークをもって峰性を示した。胆管細胞及び胆管上皮様細胞では、癌細胞の出現に伴い著しい上昇をしめした。Flow cytometoryでのDNAヒストグラムは、正常ラットでは4C細胞優位で2C細胞の約2倍であるが、投与後徐々に2C優位となり2ケ月後には4Cの約4倍となり、以後7ケ月まで同様の傾向を示した。癌遺伝子の発現に関する検討では、β-actinha投与後各時期で差異を認めず、C-mycは投与4ケ月で正常の約3倍、6ケ月で約5倍、7ケ月の癌部で約9倍の発現量の亢進が認められた。現在thioacetanide及び3′-methyl-diajoaminobenzeneの併用により肝硬変合併肝細胞癌モデルの作成ならびにS期細胞標識率、DNAヒストグラム、癌遺伝子の発現について検討中である。 2.臨床応用例:各種肝疾患について癌遺伝子の発現につき検討した結果、肝細胞癌、転移性肝癌においてc-mycに発現が認められた。肝硬変ではその発現は認めず、C-H-γasも同様に発現を認めなかった。しかし症例数がいまだ少なく、症例を重ねるとともに、過去の症例についても検討可能であるin-situ-hybridization等についても検討している。
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