研究概要 |
大腸癌において非常に高頻度に検出される分子量125000の表面抗原に反応するモノクローナル抗体C97,抗CEA及び抗AFPモノクロナール抗体の3種の抗体を用いて免疫を行い、抗イディオタイプ抗体を作成している。現在は血清の解析を行っているがいずれも高力価の抗イディオタイプ活性が得られており、細胞融合の結果が期待される。臨床に用いた症例数は2例であるが、このうちの1例は直腸メラノーマの症例でかなり進行していた。現在、同部の表面抗原の解析を染色を用いて行っている。また、術後の再発予防に用いておりその免疫学的変動の観察を2color analysisを用いて行っている。勿論、患者の承諾のもとに施行しており副作用は一切認めず経過良好である。又、モルモットメラノーマ細胞の解析において興味ある知見が得られた。以前より一部のモルモットメラノーマの表面抗原にはヒトの高分子メラノーマ関連抗原(HMWMAA)を認識するモノクローナル抗体が反応することが知られている。当研究者は多数の抗HMW-MAAモノクローナル抗体との反応性を調べ、反応する群としない群に分類した。反応する抗体群にも異なる反応性があることが判明した。このような反応を抗イディオタイプ抗体を用いて解析を行った。抗HMWMAA抗体225.28の反応はヒトのそれと殆ど変わらないのに比べ、149.53の反応はヒトとは異なっていた。この結果は、cell lysateや細胞培養液中の遊離抗原中でも観察された。生化学的解析により149.53により認識されるモルモットの抗原のepitopeは、ヒトメラノーマ細胞上の280Kd分子の一部分のみであることが判明した。このように異種動物間での交叉反応を認めるモノクローナル抗体は非常に稀であり、かつそのepitopeの表現形式が異なるという事実は、興味深いものであると考えられる。
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