研究概要 |
大腸癌・膵癌に高頻度に発現される表面抗原を認識するモノクロ-ナル抗体C97および原発性肝癌で発現されるAFPを認識するモノクロ-ナル抗体AFDO46を免疫源として細胞融合法により抗イディオタイプモノクロ-ナル抗体を作成した。これらの抗体は免疫源として用いた抗体と強く反応するが,他の抗体群とは反応は示さず,その反応は極めて特異性が高く,各抗体の細胞への結合を強く抑制するため抗原のエピト-プを認識するものと考えられた。このうち抗C97抗体は力価が弱く,最終的には失う結果となったが抗AFP抗体に対しては2種類の抗イディオタイプモノクロ-ナル抗体を確立することができた。これらの抗体は免疫源に対する抑制の強さより部分的に共有するエピト-プを認識しているIgG1抗体であることが確認された。現在までの解析では抗原としてのAFPと交差性は示されていないが,internal imageを有するか否かを解析する一方,マウスを用いた実験により移植されたAFP産生腫瘍に対しどの様な影響があるかを検討中である。又,研究代表者が作成した抗ヒト高分子メラノ-マ関連抗原(HMWーMAA)を認識する抗イディオタイプ抗体MK2ー23の解析により同抗体がinternai inageを有することが証明され,人型免疫グロブリンを惹起させる能力を有することが判明した。このため,従来他の抗体で行われてきた臨床治験を同抗体へと変更しているが,NC4例,PD2例であった成績の向上が期待される。この一連の研究の中で新たに2つの新成果を得た。1つは,HMWーMAAにおいてモルモットの腫瘍上の抗原と交又反応を示す抗体を抗イデイオタイプ抗体を用いることによって,反応部位がヒトのエピト-プの一部分のみを認識するものであったことが証明できたことであり,種による黒色腫の相異の解析として重要な意味をもつ。もう一つは,多くの抗HMWーMAA抗体を反応性により体系的にまとめることができたことである。
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