• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1988 年度 実績報告書

大腸癌肝転移の基礎的臨床的研究--アラキドン酸カスケードからみた転移機構の解明とその臨床応用

研究課題

研究課題/領域番号 63480299
研究機関東京大学

研究代表者

森岡 恭彦  東京大学, 医学部(病), 教授 (10048952)

研究分担者 尾野 雅哉  東京大学, 医学部(病), 医員
洲之内 広紀  東京大学, 医学部(病), 医員
杉原 健一  東京大学, 医学部(病), 医員 (10171167)
久保田 芳郎  東京大学, 医学部(病), 医員 (70170040)
武藤 徹一郎  東京大学, 医学部(病), 助教授 (20110695)
キーワード大腸癌肝転移 / プロスタグランジンE_2(PGE_2) / 局所免疫
研究概要

本研究の初年度として免疫抑制作用をもつプロスタグランジン(E_2(PGE_2)と原発巣における局所免疫能との関係さらに局所免疫不全との関係について検討した。
1)大腸癌患者46例に対し局所微小循環の観点から腫瘍の影響を最も強く受けていると考えられる腫瘍潅流静脈血(V)中PGE_2濃度と流入動脈(A)中PGE_2濃度を測定した。その結果腫瘍潅流静脈血中PGE_2濃度(119.1±14.3)pg/mlは流入動脈血中PGE_2濃度(15.4±2.3)pg/mlに比較して有意に高かった。肝転移の有無で検討するとPGE_2のV/A比は肝転移を有する症例においては肝移転を有しない症例に比較して有意に高値を示していた。その後の経過観察中に3例の異時性肝転移例を経験したが、いずれもPGE_2のV/A比は高値を示していた。
2)免疫組織化学的手法を用いて癌増殖先進部の炎症性細胞浸潤を検討した。PGE_2のV/A比は癌増殖局所におけるIL-2リセプター陽性細胞数と負の相関を、サプレッサーT細胞数と正の相関関係をもつことが認められた。このことからPGE_2は癌増殖局所においてimmuno-suppressiveに作用していることが示唆された。
3)腫瘍及びその非癌部粘膜のPGE_2代謝率(不活化率)を測定することより、以下の結果を得た。PGE_2の代謝率は個々の症例で検討すると全例において腫瘍組織では非癌部粘膜に比較して少なかった。また同時性肝転移を有する原発腫瘍組織の代謝率は肝転移を有しない原発腫瘍組織のそれに比較して有意に低値を示していた。
以上よりPGE_2は癌増殖局所において免疫抑制的に働き、PGE_2のV/A比は局所免疫不全の指標と考えられた。さらにPGE_2V/A比は肝転移予知の指標としても有用と考えられた。

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] 森岡恭彦: 診断と治療. 76. 1661-1665 (1988)

  • [文献書誌] 武藤徹一郎: 癌の臨床. 34. 1331-1341 (1988)

  • [文献書誌] 久保田芳郎: 日本癌学会総会記事. 352-352 (1988)

  • [文献書誌] 洲之内広紀: 消化器と免疫. 20. 221-225 (1988)

  • [文献書誌] 洲之内広紀: 外科診療. 30. 931-938 (1988)

  • [文献書誌] 洲之内広紀: 臨床画像. 4. 66-72 (1988)

  • [文献書誌] 杉原健一: "Annual Review 消化器" 中外医学社, 311-317 (1988)

  • [文献書誌] 武藤徹一郎: "癌診療 Question & Auswer" 六法出版, 104-105 (1988)

URL: 

公開日: 1990-03-19   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi