研究概要 |
1.フラグメント化モノクロ-ナル抗体結合によるアドリアマイシン封入リポソ-ムの抗腫瘍効果増強と網内糸捕捉対策 抗ヒトCEAモノクロ-ナル抗体(21B_2,IgGl)は、ペプシン消化によりF(ab′)_2化すること、およびF(ab′)_2の還元処理によりFab′化することをSDSーPAGEにて確認した。Fab′の抗体活性は、CEA産生胃癌細胞株MKNー45に対する反応性を酵素抗体法により確認した。抗体とリポソ-ムの結合に架橋剤SPDPを導入することにより、抗体活性の低下することをEIAにより認めたことにより,SPDPを必要としないFab′の有利性が示された。このFab′を結合したアドリアマイシン封入リポソ-ム(LipーADM)であるLipーADM=Fab′は、MTTdssayによるinvitro細胞障害試験により他の剤型より低いIC50%値を示した。体内動態では、LipーADM=Fab′が最も高い腫瘍内濃度を示したが、網内系への捕捉の減少は不十分であった。治療後の相対平均腫瘍重量,摘出腫瘍の実測重量、その組織学的効果、血中CEA値などの評価にてLipーADM=Fab′の抗腫瘍効果増強が示された。 2.温度感受性リポソ-ムと腫瘍局所加温併用による抗腫瘍効果増強 相転移温度(TC)41℃のDPPCとcholesterolをモル比10:1にて作製しアドリアマイシンを封入したTSーLipーADMは、40℃に放出率のピ-クを有する温度感受性ADM放出を示した。ラットの実験等で腹水肝癌AH66を大腿皮下に担癌させ、各薬剤を静注直後より腫瘍局所をマイクロ波加温装置BSDー1000にて42.5℃、20分間加温した際の体内動態は、TSーLipーADM群がfreeADMより有意の腫瘍内ADM到達を示した。肝,脾には多く貯留したが心臓への取り込みは減少した。両側体幹皮下にAH66を移植し、一方のみを43℃,15分間加温を併用することにより、TSーLipーADM群に有意の腫瘍増殖抑制が示された。 3.CDDP系薬剤のリポソ-ム剤型化 CDDP、NKー421の封入を行い、至適投与量を検討したが、未完了である。
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