研究課題/領域番号 |
63480311
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
高田 忠敬 帝京大学, 医学部・第1外科, 助教授 (80075340)
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研究分担者 |
渡辺 伸一郎 東京女子医科大学, 消化器内科, 講師 (70075399)
安田 秀喜 帝京大学, 医学部・第1外科, 講師
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キーワード | 膵頭十二指腸切除術 / 消化管ホルモン / 食事負荷 / セクレチン / ガストリン |
研究概要 |
本年度は膵頭十二指腸切除術(以下PD)における全胃温存術式と胃切除付加術式であるWhipple法を、消化管の切除範囲および再建法の違いによる消化管ホルモンの変動を比較検討した。全胃温存術式には膵胃吻合(15例)と膵腸吻合(8例)による再建法があり、Whipple法には、再建法により胆・膵・胃(PD-I:15例)、膵・胆・胃(PD-II:5例)、胃・膵・胆(PD-III:9例)がある。これにコントロールとして健常人8例を加え、血中ガストリン値と血中セクレチン値を試験食負荷前、負荷30分、60分、90分、120分後に測定し、各種再建術と比較検討した。〔セクレチン〕(1)健常人:セクレチン値の推移は空腹時(平均3.5pg/ml)と比較して食後60分以降有意(p<0.05)に高値をとった。(2)全胃温存法:膵胃吻合法と膵腸吻合法におけるセクレチンの推移は、空腹時と比較して食後60以降(P<0.05)に高値をとり健常人と類似した変動であり、両者に有意差はなかった。(3)Whipple法:PD-I、PD-II、PD-IIIの3タイプにおけるセクレチンの推移は食後90分に最高値を示したが有意差は認めなかったが、健常人・全胃温存法と比して有意(p<0.05)に低値を示した。〔ガストリン〕(1)健常人:ガストリン値の推移は、空腹時145pg/ml、30分後356、60分後274、90分後251、120分後222であり、食事負荷前と比べて30分後と60分後が有意(P<0.05)に高値であった。(2)全胃温存法:膵腸吻合では、食事負荷前120pg/mlに比べ食後30分後と60分後が有意に高く、変動パターンは、ほぼ健常人に類似していた。膵胃吻合では食事負荷前114pg/mlに比べ、30分後316、60分後228、90分後210、120分名と206であり、食後30分後と60分後が有意に高かった。この変動パターンは、ほぼ健常人と類似していた。(3)Whipple法:各種の再建術式では、食事負荷前から低値であり、その後も食事負荷による影響は全く認められなかった。〔結論〕幽門輪全胃温存膵頭十二指腸切除術は胃切除を伴うWhipple法と比べ食後のセクレチンとガストリンの推移は健常人と類似の変動を示した。
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