研究課題/領域番号 |
63480316
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
林 紘三郎 北海道大学, 応用電気研究所, 教授 (90026196)
|
研究分担者 |
山本 憲隆 北海道大学, 応用電気研究所, 助手 (40210546)
松本 健郎 北海道大学, 応用電気研究所, 助手 (30209639)
中村 孝夫 北海道大学, 応用電気研究所, 講師 (00142654)
|
キーワード | 超音波変位計 / 生体内埋込用センサ / 心力学 / 補助人工心臓 / 心不全 / 動物実験 / 左室仕事量 / 局所心筋仕事量 |
研究概要 |
1.不全心モデル急性動物実験 冠動脈左前下行枝を結紮して、その血流領域を虚血にした犬の心臓に対して、補助心臓ポンプを左房-下行大動脈間、及び左室-下行大動脈間に取り付け、超音波センサを心室内壁上及び心筋内に装着して、左室径、及び健常部並びに虚血部心筋長を測定した。補助心臓駆動時、非駆動時のそれらのデ-タから左室全体の仕事量、健常部及び虚血部の局所心筋のなす仕事量を計算し、心補助効果について心力学的に検討した。この結果、補助心臓は(1)健常部心筋の負荷を軽減できること、(2)虚血部心筋に過大な負荷がかかることを抑制する効果のあること、その結果として(3)左室全体の仕事量を低下させることができること等が明らかとなった。特に左室脱血の場合には、健常部心筋もほとんど仕事をしない状態にまで除負荷できた。 2.健常心モデル慢性動物実験 健常心山羊に、急性実験と同様な方法で補助人工心臓と超音波変位センサを取り付け、1カ月間観察した。この結果、(1)超音波センサが生体内で長期間安定に動作すること、(2)長期間の除負荷が心筋萎縮を引き起こす可能性のあること等が明らかとなった。 3.不全心モデル慢性動物実験 実験的不全心を作成した山羊で補助心臓による心機能の回復過程を検討した。この結果、(1)補助心臓によって心機能を回復できる心筋梗塞範囲は、少なくとも左室壁全体の70%よりも小さいこと、(2)左室全体の心機能の回復は、主に健常部心筋による梗塞部心筋のなすべき仕事の代償によってもたらされること、(3)組織学的に健常部心筋の肥大がみられること、(4)虚血部心筋はある程度の仕事ができるようになることのあること、(5)心機能が安定するまでに補助心臓離脱から10日間程度必要なこと等が明らかとなった。
|