研究課題/領域番号 |
63480319
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
伊藤 喬廣 名古屋大学, 医学部, 教授 (10022899)
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研究分担者 |
高木 啓之 静岡済生会総合病院研究部, 部長
飯尾 賢治 名古屋大学, 医学部, 助手 (10184334)
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キーワード | 体外循環 / 膜型肺 / 血液ポンプ / 自動制御 / 新生児呼吸不全 |
研究概要 |
小児、ことに新生児の急性重症呼吸不全に近年アメリカを中心に実施されている「膜型人工肺体外循環(ECMO)」は、装置の安全性、省力化などでまだ多くの問題点が存在する。これらの問題点の為、本邦においては、この自用な治療手段が普及していない。我々は、従来のローラー型血液ポンプに替え、空気駆動の自動制御血液ポンプを利用した世界唯一の自動膜型肺循環装置の開発に成功した。試作されたECMO装置は人工肺を含め、容量は約65mlと世界最小であり、2コの血液ポンプを並列に回路内に置き、交互に駆動させる方式で、ポンプ内に流入する血液の量の多寡に応じ、自動的に拍出量を変更することが可能な世界最初の完全自動制御装置を備えている。 膜型人工肺体外循環(ECMO)を動物(小犬)で行い、左房圧、左室圧、大動脈圧、体外循環量などを同時的に測定し、循環動態を分析した。その結果、心拍出量の50%を超えるような高流量VAーbypassでは大動脈圧より左室圧が上昇し、カテコーラミン投与や輸血などを行わない限り、次第に循環不全に陥ることを明らかにした。この高流量ECMO中に発生する循環不全の原因は不明で、今後の研究で明解していく。 昨年度まで使用したポンプは圧搾空気が直接血液室を圧迫する方式であったが、血液室を生理食塩水の層で覆い、間接的に空気で加圧する方式に改良し、安全性を高めた。 臨床応用のために装置の信頼性、耐久性を検討する目的で模式循環回路を使用して長時間ECMO装置を連続運転した。360時間まで運転したが、異常は発生せず、臨床でも安全に使用できると考える。
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