研究課題/領域番号 |
63480319
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
伊藤 喬廣 名古屋大学, 医学部, 教授 (10022899)
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研究分担者 |
高木 啓之 静岡済生会総合病院, 研究部, 部長
飯尾 賢治 名古屋大学, 医学部, 助手 (10184334)
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キーワード | 体外循環 / 膜型肺 / 血液ポンプ / 自動制御 / 新生児呼吸不全 / カテコ-ルアミン |
研究概要 |
自動制御機構を持った空気駆動式サック型血液ポンプを模型酸化装置と組み合わせたECMOを呼吸不全患者に使用する目的で研究を進めてきた。高流量で比較的長時間ECMOを施行した場合に惹起される末梢循環不全を中心に本年度は研究を行った。平均体重2.9kgの雑種犬10頭を用いて、ECMOを実施し、末梢動脈血圧、左右心室圧、肺動脈圧、上行大動脈流量などをモニタ-した。同時に血中ノルエピネフリン、エピネフリン、ド-パミン値をwaters社製高速液体クロマトグラフィ-にて測定した。 50ml/kg/min以下の流量では右心室圧は軽度に低下し、右心室補助効果を認めたものの、流量を増加すると、右心室終末拡張期圧は上昇し、逆に右心室に負荷がかかるという結果を得た。一方、小流量では低下傾向を示した左心室圧収縮期圧は、流量を増加していくと、末梢動脈収縮期圧よりも高値を示すようになり、末梢血圧は更に低下した。この低血圧は流量を減少しても、持続した。左心室終末室拡張期圧は上昇し、高流量での左心室負荷を示した。すなわち、高流量では左右心室に明かな負荷がかかっていることを立証した。カテコ-ルアミンとの関連に関しては、以下の結果が得られた。ECMO時、ノルエピネフリン、エピネフリンの上昇する場合が多かった。しかし、動物の個体差も大きく、これらカテコラミンの変動をパッタ-ン化するには至らなかった。ド-パの変動と流量との間に一定の関係は認めなかった。 高流量時のECMOの生体循環に及ぼす影響、そのmechanismについて今後も研究を続行する。本研究の当初に予定した臨床応用は臨床用血液ポンプの制作が遅れたことなどの理由により、平成3年度の研究課題とした。
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