研究課題
セグメント化ポリウレタンを材料とした補助循環装置(トーマス型)の小児用仕様30ccモデル(TB-30)を胸腔内植辺み用と考え、モックサーキュレーション・システムにてテストした。TB-30の駆動膜は厚さ0.20〜0.25mmの一板構造で、人工弁は径15mmのビジョルク・シャイリー弁を流入・流出路に設置してある。空気駆動チューブは径1/4の塩化ビニールを使用し、駆動装置はアブコ社製PBPモデル20を使用した。機能試験では、駆動圧200mmHgで拍出量は2.8l/分で、200mmHg以上としても拍出量は増加しなかった。駆動数50から125/分の間で拍出量は直線的増加を示した。耐久性試験では、2週間の臨床補助を目安とした4週間はクリヤーした。急性実験は、まず雑種成犬にて行なった。胸骨正中切開で心に到達し、1時間の体外循環を施行し、左房-上行大動脈間の補助の為のカニューレを装着した。体外循環より離脱した後(1時間の体外循環のみで、心は不全状態であった)、補助循環装置を駆動させた。10回の急性実験を行なった。初期の2回は除く、8回の実験では十分な補助循環効果が得られた。屍体を用いたフィット・トライアルでは右側胸壁第6肋間位胸腔内を臨床では考えているが、空気駆動式補助循環装置を胸腔内に置く上での問題点は、装置そのものより送・脱血カニューレのデザインに改良点があると考えられた。また、体外においた場合は、ダイアフラグマを直視し、駆動に反映出来る利点があるが、体内(胸腔内)に置いた場合はそれに代る指標が要求されるものと推察され、次年度の研究課題と考えている。