研究課題
空気駆動式補助循環装置を胸腔内に植入込んで臨床使用することを課題とした研究で本年度の計画は慢性実験を行ない安定した補助効果をえることと、そのデ-タを解析し必要な装置の改良を行なうことであった。胸腔内に植え込む補助循環装置としたト-マス型30ccモデルTBー30は模擬回路に装着した機能試験及び耐久性試験では問題はなかった。駆動圧100から200mmHgの間では、ほぼ直線的に拍出量は増加し3l/分弱の補助能(拍動数100/分)を有し、4週間の耐久試験もクリア-した。しかし、慢性実験では安定した成績をうることは出来なかった。このモデルの完成置換型人工心臓実験でも経験したことと同様の装置としての未完成なるが故のトラブル(人工弁が装着部からはずれてしまうなど)があった。空気駆動式補助循環装置を胸腔内に置く上での問題点は装置そのものより送、脱血カニュ-レのデザインに改良点があると考えられたので、装置よりもカニュ-レの開発に主眼をおくべきかと考えている。カニュ-レの問題は名個体に合せて長さを切断することで対処出来ることを第27回の日本人工臓器学会に報告した。体外にある場合、空気駆動式では駆動膜の動きが指標となるが、胸腔内に置いた場合のそれに代わる新しい指標は見い出せず、流入側の圧と拍出量のモニタ-を指標に駆動することになると想定される。次年度は最終年度であり、補助循環装置の改良を図り、胸腔内植込みの臨床応用に役立てたい。
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