研究課題
一般研究(B)
長期の補助の際 問題となる感染を防止する為に空気駆動式補助循環装置の胸腔内植込みを企図した。初年度は補助循環装置として選択したト-マス型30ccモデル(TBー30)の機能テステ及び急性実験、次年度は慢性実験、最終年度は不全心モデル実験を行った。研究成果は(1)空気駆動式補助循環装置を胸腔内で駆動することは既存の装置で可能。(2)装置そのものより送・脱血のカニュ-レのデザインが重要であり、カニュ-レの屈曲や吻合部での閉室を防止すること。(3)胸腔内に補助循環装置を設置する場所としては右胸腔内横隔膜上が考えられる。(4)実験では左心耳脱血、上行大動脈送血にて左心補助を行ったが、臨床では経中隔左房脱血、上行大動脈送血が考えられる。(5)胸腔内で補助する場合の指標としては一回拍出量がよい(体外での補助の場合、直視下に駆動膜の動きをみることができるが、その代りの指標として)などの知見がえられた。今後の課題としては(1)胸腔内においた場合、周囲組識との癒着が問題となる(その対策としてはゴアテックスシ-トにて境することが考えられる)。(2)駆動チュ-ブは体外と交通するので感染の機会は残る。(3)呼吸容積の減少等不利益な点もあり、補助が長期化する患者を選んで適応させなければならない等が考えられる。不十分な結果に終ったが、多くの空気駆動式補助循環装置が体外に設置されて臨床応用されている現況に対し、胸腔内に植込む形の研究は感染予防等の問題から必要と考える。
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