研究課題/領域番号 |
63480322
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
四津 良平 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30129738)
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研究分担者 |
黒坂 有 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00186537)
相馬 康宏 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (40051437)
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キーワード | 補助人工心臓 / 急性心筋梗塞 / 中隔穿孔 / 単心室化 / 僧帽弁閉鎖不全 / 心臓移植 / 人皮心臓 / Bridging |
研究概要 |
心室中隔穿孔(VSP)と僧帽弁閉鎖不全(MR)の合併症例に対する左心補助人工心臓共存下単心室化手術の可能性を雑種犬を用いた動物実験で検証した。本法により実験動物の心拍量はほぼ生理的な範囲に維持可能であったが体血管抵抗が低値にとどまったため動脈圧はやや低下した。肺血管抵抗は有意の変動を示さず肺動脈圧、左房圧とも本法の施行前後で有意差を認めなかった。中心静脈圧は生理的範囲内であったがやや上昇傾向を示した。 本法では大動脈弁を閉鎖しないため収縮期に単心室内の静脈血が大動脈内に駆出される可能性がある。大動脈基部に於ける超音波断層法では左心補助人工心臓をを心電図同期で駆動した場合、収縮期にも大動脈弁は開かなかった。しかし心電図同期させないと収縮期に心室内圧が大動脈圧を上回り大動脈弁の開放が見られる場合があった。 本法施行後の循環動態の経時的変動を見るために生存実験を計画、施行した。しかし、実験動物として使用した雑種犬は再度の人工心肺による体外循環の侵襲に耐え得ないことが多く、本法施行後数時間で心停止に至り、急性実験の範囲を越えた生存実験は行い得なかった。本法の臨床応用を考慮する際には生存実験による血行動態、代謝系等への影響を充分に検討する必要があり、このためには他の動物(例えば有蹄類)を用いた動物実験が必要になると考えられる。 左心補助人工心臓共存下単心室化手術は完全置換型人工心臓移植術に比べ手術侵襲が小さいこと、低コストであること等いくつか長所があるが生体内の代謝の変動、主要臓器機能について今後も急性、慢性の動物実験を行い検討を加える必要がある。
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