研究課題/領域番号 |
63480323
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
大石 喜六 久留米大学, 医学部, 教授 (30080766)
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研究分担者 |
久富 光一 久留米大学, 医学部, 助手 (10183576)
安藤 文彦 久留米大学, 医学部, 助手 (80184323)
山名 一有 久留米大学, 医学部, 助手 (60158235)
磯村 正 久留米大学, 医学部, 講師 (30140643)
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キーワード | 心筋細胞 / 培養 / Cardioplegic solution(CS) / アルブミン / in vitro |
研究概要 |
開心術の発達に伴う手術適応の拡大に対し、新生児、重症成人例などの特殊症例に用いるために心筋保護液(CS)の改良をin vitroでのrat心室筋細胞の培養により行った。昭和63年度に確立したラット心筋細胞培養の簡易手技を用いて心筋細胞を培養した。従来用いているcrystalーloid CS(CーCS)、グルコ-スを含むCS(GーCS)、更にGーCSに1%アルブミンを含むCS(GAーCS)の3種のCSの影響を観察した。4℃に冷却したCSを直接心筋細胞への接触させると、完全にbeatingを停止する細胞は、CーCS、GーCS、GAーCSの順に多くみられた。この後、20%Fetal bovive serumを含む培養液に置換し、beatingの回復した細胞の割合を見ると、GAーCSが最も良く、ついでCーCS、GーCSであった。更に、GAーCS群ではbeatingを再開しない細胞は殆ど無かった。透過電顕での観察では細胞内小器官ことにミトコンドリアの形態はGAーCSを作用したものではもっともよく温存され、CーCS、GーCSではクリスタの不明瞭化が目立った。また、現在臨床で積極的に用いているCーCSの作用時間と、心筋細胞への影響を見るために20〜180分間まで段階的にCSを培養細胞に作用させた後のheatingの回復を見ると、作用時間が長くなると培養液に再置換後にheatingを再開しない細胞が有意に増加し、長時間でのCーCSの細胞に対する影響を反映するものと思われた。3ケ月未満の開心術例に対してGAーCSを8例に用い、従来のCーCSを用いた21例と比較すると大動脈遮断解除後の心拍動自然再開率はGAーCS使用例では全例(100%)で、明らかに CーCS使用例での76.2%に比べ、良好であった。以上より、in vitroモデルでのCSの改良は容易で、心筋保護効果の判定に有用であり、臨床的に使用した場合の心筋保護作用効果との関連を認めた。Albuminを含むCSは従来のCーCSに比べ心筋保護効果が高く、今後Albuminの至適濃度、作用機序の解明が必要であると考えている。
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