研究課題/領域番号 |
63480324
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
亀山 元信 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (70169647)
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研究分担者 |
丹治 順 東北大学, 医学部, 教授 (10001885)
大槻 泰介 国立療養所, 宮城病院・臨床研究部, 室長
井戸 達雄 東北大学, サイクロトロンラジオアイソトープセンター, 教授 (80134063)
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キーワード | 痛みモデル / 持続痛 / 猿 / 深部脳刺激除痛 / 中心灰白質 / ナロキソン |
研究概要 |
1.新しい猿持続痛モデルの開発を行った。 (1)モンキ-チェア上で一側の上肢を抱束した日本猿の前に提示した20個の干しぶどうの細片を素早く摂取させるタスクを確立した。(2)この猿の一側肘関節に尿酸塩の針状結晶の懸濁液を注入することにより持続痛が生じ、その痛みによりタスクに要する時間は延長。その程度は注入した尿酸塩の量と相関した。この延長したタスク逐行時間の正常化をもって鎮痛効果を判定した。 2.3匹の日本猿に対し定位的に4回の慢性電極植え込み手術を行い、肘関節内尿酸塩注入による持続痛に対する中心灰白質の電気刺激の効果を判定した。(1)約30ケ所の電気刺激部位のうち2ヶ所でタスク所要時間の明らかな短縮を認めた。(2)このうち1ヶ所の刺激効果は、ほぼナロキソンにより拮抗され、他方においては、ごく軽度拮抗された。(3)この部位の電気刺激は尿酸塩非注入側のタスクに影響を与えなかった。 従来の動物痛みモデルの多くは、急性痛を動物に与えての逃避行動を起こさせる。閾値の変化で鎮痛効果を判定していた。このため、ある除痛手段に伴って起こる、閾値の変化が、鎮痛効果によるものか、鎮静効果によるものかを判別することが困難であった。我々の持続痛モデルにおいては、持続痛下での能動的動作の回復を鎮痛効果の指標としているため、ある程度両者の鑑別が可能となった。このモデルで中心灰白質の電気刺激除痛の再評価を行い鎮痛効果を認めたことは、現在でもなお議論の多い臨床での刺激除痛の効果の評価に対し、動物実験による強い根拠になると思われた。
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