研究課題/領域番号 |
63480329
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
生塩 之敬 熊本大学, 医学部, 教授 (20028583)
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研究分担者 |
河内 正人 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (70178218)
三浦 正毅 熊本大学, 医学部, 助手 (00192352)
永廣 信治 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (60145315)
倉津 純一 熊本大学, 医学部, 講師 (20145296)
植村 正三郎 熊本大学, 医学部, 助教授 (00128258)
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キーワード | Glioma / 癌化学療法 / 増殖因子 / 薬剤耐性 |
研究概要 |
ACNUは悪性グリオ-マに対して有効な薬剤であるが、ACNUの全身投与に対して再発を示す症例がある。我々は、今回継代グリオ-マ細胞株のなかでもACNUに比較的抵抗性を示す細胞株に対して、新しい抗癌剤YM881(Smancs)の有効性、さらにACNUと抗増殖因子物質であるtrapidilとの併用療法の有効性について検討した。その結果、YM881はin vitroにていずれの細胞に対しても著明な抗腫瘍効用を示し、ACNU耐性グリオ-マ細胞にも有効であった。また、脳内移植したラットグリオ-マモデルにてYM881を静注後、グリオ-マ内に著明なYM881の集積がみられ、in vivoの実験でも有効な抗腫瘍効果を示したことから、YM881はACNU耐性グリオ-マに有効な抗癌剤と思われる。Trapidilは抗PDGF作用をもつ物質であるが、私たちはPDGF産生グリオ-マ細胞の増殖を抑制することを、既にあきらかにしている。今回、ACNUとtrapidilとの併用について検討した結果、trapidilを加えることによりACNUの効果が増強されることがわかった。現在、グリオ-マを皮下移植したマウスモデルを用いて、in vivoで検討中である。再発グリオ-マでは、比較的高頻度に髄腔内播種をきたし、治療を困難とする。この病態を克服するために、私達は犬を用いてACNU髄腔内灌流療法の確立をはかった。この結果、脳室内へ注入したACNUは、腰部より排液した髄液内で有効濃度が得られ、また反復注入したにもかかわらず脳室上衣の病理組織学的変化、髄液の生化学的異常、犬の神経学的脱落などはみられず、グリオ-マの髄液腔内播種に対して有効な治療法であると考えた。
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