研究概要 |
〔目的〕脳血管攣縮のin vitroにおける慢性実験が可能な新しい実験モデルとして脳血管平滑筋細胞の培養を確立する。これを用いて急性期、慢性期の細胞の収縮と組織学的変化、細胞構築の変化、細胞内顆粒やCa〓の動態を研究する。〔方法〕ラビット脳底動脈からenzyme-dyspersal法によって平滑筋細胞を培養し、系代3代目の細胞を実験に供した。Serotomin,Noropinephrine,AngiotensinII,KCI,OxyHb,LTC_4などを細胞に添加し、収縮物資投与day1-day7の細胞を電顕によって検索し、収縮と組織学的変化を追跡した。又、ノマルスキー微分干渉顕微鏡にVideo-analysing systemを連結し(digital imaging microscopic system),細胞構築の変化、細胞面積収縮率を細胞のliving stateで観察した。〔結果〕10^<1-5>M OxyHbをday1,day3に添加することによって細胞は進行性に収縮し、この収縮は電顕上myonecrosisと思われる組織学的変化を伴っていた。この進行性の変化はOxyHbによってのみ得られ、OxyHb washoutを投与3時間以内に行うことによって予防することが出来た。digital imaging microscopic systemによる観察ではOxyHbによって得られる細胞面積収縮はNorepinephrine投与の約94%であり、最大面積収縮率は約30%であった。〔結論〕OxyHb投与によって細胞の進行性収縮とMyonecrosisが得られる。他の物資は単独投与では一過性の収縮を生じるにすぎないがOxyHb共存下では著しい進行性収縮を生じることから脳血管攣縮の発生にはmultifactorialな要素が予想される。これらの変化を細胞をliving stageにおいたまま微細に観察するにはdigital imaging wicroscopic systemは極めて有用である。Fra-2を用いた細胞内Ca〓の変動についても追跡中である。
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