研究課題/領域番号 |
63480331
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
藤津 和彦 横浜市立大学, 医学部, 助教授 (10101057)
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研究分担者 |
藤井 聡 横浜市立大学, 医学部, 助手 (90173385)
田中 直樹 横浜市立大学, 医学部, 講師 (80188317)
桑原 武夫 横浜市立大学, 医学部, 教授 (80045947)
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キーワード | cerebral vasospasm / hemolysate / cell wlture / smooth muscle cell / Nomarski微分干渉顕微鏡 / videoーanalyser / phospholypase C |
研究概要 |
当研究者等は脳血管変縮の新しい実験モデルを開発し、以下の如き観察結果を既に発表した。ラット胸部大動脈から培養した平滑筋細胞をhemolysateと共に一週間培養すると進行性の細胞收縮と組織学的変化を生じ、しかもこの組織学的変化はmyonecrosisと類似する。これらの観察結果は臨床で観察される経過と病理学的所見とに極めて良く似たものである。しかし今までの観察は電子顕微鏡で行われたものであり、この間に細胞がどのような機能的変化を示すかは不明であった。そこで今回は上記の観察期間中細胞が生きたままの状態で観察できる新しい実験モデルを開発し、同時に観察期間中の細胞の收縮能をも調べた。 今回の研究では平滑筋細胞をラビット脳底動脈より培養した。Nomarski differential interference microscopeにvideoーanalysing systemを接続し、細胞の收縮と微細構造を同時に観察できるようにした。Hemolysateと共に培養を行った細胞は5HTとLTC_4に対する收縮が増強する(augmenting effect)が、KCLに対する收縮には変化がない。このaugmenting effectはphospholipase Cのblockerで消失する。またこのaugmentationは培養日数とともに減弱し、day3以降はcontrolとの差が無くなる。これらの観察から1.細胞は観察期間中收縮能を保っている。2.Hemolysateはreceptorーmediatedのinositol phospholipid breakdownを促進してaugmenting effectを示す。3.細胞の進行性收縮は細胞の收縮能自体を低下させている、と結論される。Hemolysateの平滑筋に対する作用は1.細胞の急性收縮、2.平滑筋細胞の收縮をaugnentする、3.慢性持続性の收縮とmyonacrosisを生じる、と考えられる。脳血管変縮ではこれらの作用が互いに関係し合って悪循環を形成していることが予想される。
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