ウィルス誘発マウス腎癌細胞(mKSA)をマウス大脳半球内へ定位的手術にて移植させたところ、腫瘍は脳内に生着し、更に約2週間にて腫瘍死することが確認された。その間体重は3〜4日後より急激に減少し死亡直前には約100gの体重減少を認めた。断頭直前(移植後14日)に開脳し、左室穿刺を行い、Microfil(7ml/mouse)注入、体内を潅流させその後脳をとり出して、100〜200μm透徹標本を作成した。Microfil注入により脳表の血管は黄色を呈し肉眼的にも容易に観察された。すでにday4において、脳実質内に腫瘍は形成され、脳実質内の血管が側枝を出し腫瘍方向へ進展し、微小血管として認められた。腫瘍に向かう新生血管の走行は2種類に大別された。即ち宿主側より比較的太い血管が腫瘍中心部に向かって直線状に新生する形態と腫瘍周囲部に向かい、らせん状に比較的細い血管が新生する形態である。一方形態学的には上記2種類の血管は、その血管形態に差はなく一層の内皮細胞であった。第8因子関連抗原も両者とも内皮細胞において、腫瘍中心部へ向かう太い血管は変化はないが、腫瘍周辺部へ向かうらせん状に伸びる新生血管はその数を増し更に腫瘍実質内への進入が著明であった。
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