研究概要 |
日本白色成熟家兎20羽(平成元年度)の胸・腹部大動脈を使って、動脈瘤モデルを作成した。今回の方法は、家兎をNembutalで麻酔して仰臥位に固定し、両側鼠蹊動脈に夫々8Fcatheterを挿入した。このcatheterを介してfiber catheter(AS-003,瑞穂医科工業株)、laser prohe(hot tip),balloon catheterを挿入した。次いでballoonを胸部大動脈部で膨らませて血流を遮断し、angioscope下に動脈内壁を直径約3mmの円形状に消去した。その後catheterを抜去し、両鼠蹊動脈切開部を8〜0針で、また皮膚は2号絹糸で縫合した。術後2日間は血栓予防の為heparinを,またNoradrenalinは毎日投与して高血圧症とし、更に抗生剤と高Na添加食で飼育した。次いで2週目、1ケ月目に夫々屠殺し、動脈瘤の発生・増大の有無を検索した。 結果は術後2日以内に8羽が出血死亡した為、2週目8羽、1ケ月目4羽が検索できた。動脈瘤の発生は2週目で2羽、1ケ月目で1羽に出現した。動脈瘤はいずれも肉眼的に膨隆し、組織学的にはlaserで消去した内弾性板は破壊されて広範な壊死組織と器質化した血栓が認められた。但し2週目と1ケ月の間での組織学的差はなかった。 尚家兎の中膜、内膜はargon laserのhot tipで30joule照射する事により効果的に消去される。しかし筋層迄達すると、術後の高血圧で容易に破裂・穿孔する。また動脈瘤の発生は15%で、術後2週目より確認できた。 今後はこの動脈瘤を嚢状動脈瘤に増大させる事が必要で、それには6ケ月以上の高血圧状態での飼育、手術的に腎動脈に狭窄・結紮が必要でこの計画を続行させる。 以上今年度迄の実験結果からは、angioscope下にargon laserのhot tip使用で、15%の確率で動脈モデルが作成された。また発育・増大・破壊は消去壁、hemodynamic stressの程度・期間が重要因子であった。
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