研究課題/領域番号 |
63480334
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
中村 紀夫 東京慈恵会医科大学, 脳神経外科, 教授 (30056494)
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研究分担者 |
入倉 哲郎 東京慈恵会医科大学, 脳神経外科, 講師 (80124535)
坂井 春男 東京慈恵会医科大学, 脳神経外科, 助教授 (50057048)
高津 光洋 東京慈恵会医科大学, 法医学, 教授 (60010089)
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キーワード | 乗車用安全帽 / ヘルメット / 頭部外傷 / 自動二輪車 / 交通事故 / 衝撃緩和 / 人体ダミ- |
研究概要 |
社団法人日本自動車研究所との合同実験 方法:JIS B・C種乗車用安全帽を米国NHTSA提案の人頭ダミ-(Hybrid II)に所定のごとく装着し、このモデルを平面スチ-ル板上に自由落下させて、その際に発生する力学的成績を記録した。この数値を、従来我々がサルを用いた実験から得た、人頭衝撃耐性曲線上にあてはめた。また同じくその数値からHEAD INJURY CRITERIAを計算した。同じく乗車用安全帽を装着しない条件での落下実験を施行し、同様の処理を行った。それらの資料から、現在市販されている乗車用安全帽が、頭部外傷に際して発揮するProtective Effectivenessの程度を推定した。落下距離はダミ-が破損しない範囲において、ヘルメット装着の場合は25cmー250cm、非装着の場合は25cmー75cmとした。また衝撃部位は前頭部、右側頭部、後頭部である。 結果と考察:1)人頭衝撃耐性曲線と対比してみると、前頭衝撃では非装着では50cm落下まで、装着では183cm落下まで安全と思われる。側頭衝撃では、非装着75cm装着250cm落下まで安全である。後頭衝撃では、非装着75cm装着100cmまで安全である。ただし側頭打に際しても、もしも安全帽の帽体の剛性が弱く容易に変形すると150cm落花でも頭蓋骨々折を生じて危険域に入るので、帽体の剛性の高いものが望まれる。2)Head Injury Criteriaと対比した場合は次の通りである。もしも危険値を1000とすると、前頭部衝撃で、非装着では50cm、装着すると250cmが危険域に入る。側頭衝撃ではそれぞれ50cmと183cm後頭衝撃では、75cm183cmである。以上の結果を実測落下速度で検討してみると、人頭は時速約12kmで硬い平面に衝突すると危険であるが、安全帽を着用することによって、時速約21km程まで危険域が上昇し、これが安全帽のprotective effectivenessであろう。
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