悪性脊椎腫瘍に対する脊椎機能再建に関する研究の初期段階として、本年度は不安定脊柱モデルの作製と椎体置換材料の作製そして脊椎前方固定具の改良に関する研究をすすめた。 1.不安定脊椎モデルの作製:人摘出脊柱(胸腰椎〜仙椎)および生体の腰椎X線機能撮影像から、購入したデジタイザーにより、腰椎の動態に関するデータを得、パーソナルコンピューターを使用し、有限要素法を用いる数学的脊柱モデルを作製した。そして、このモデルをもとに不安定脊柱モデルを作製した。 2.椎体置換材料の設計および作製:アパタイトオーラストナイト含有ガラスセラミックを用いた椎体置換材料の設計と作製を行い、この臨床応用をすすめた。 3.脊椎固定具の開発:既存の脊椎前方固定具(Kaneda device)を、不安定性の著しい悪性脊椎腫瘍の脊柱再建に使用しうるよう改良した。 次年度からは椎体置換材料の力学的強度に関する実験からその材料特性に関するデータを得、不安定脊柱モデルに応用し、その結果をフィードバックさせ置換材料の改良をはかる予定である。また、改良型脊椎固定具の安定性に関する実験をすすめ、その改良も予定している。また以上の成果は本年度の、側弯症研究会(於:アムステルダム)において発表する予定である。
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