近年、多くの生体材料の開発に伴い、それらの安全性の確認が従来以上に重要となり動物実験が頻繁に行われる様になってきた。しかし、ヨーロッパを中心に動物実験の妥当性、必要性及び倫理的な面からもその在り方が問題になりつつあり、可能な限り動物の犠牲を少なくし、かつ信頼性の高い評価法、即ち動物代替法の確立で望まれている。 以上の様な目的で、種々の生体材料、金属材料としては、ステンレス、チタン、バイタリューム、NiーTi合金等、セラミック材料では、アルミナ、水酸アパタイト、ガラスセラミック、高分子材料としては、HDP、PVC、ポリウレタン等を使ってinーvitro、inーvivoの実験を行った。 inーvitroの実験として、前述の生体材料の細胞毒性をコロニー形成法を使って実験した。金属材料では、従来生体に使用されているステンレス、チタン合金には、著明な細胞毒性はないが、それを構成する、ニッケル、バナジューム、モリブデン等に著明な細胞毒性をみた。又、inーvivoの実験においても、ニッケルの単体を入れたラットは、6ケ月以内に腫瘍を形成し、すべて死亡した。バナジューム、モリブデンは現在実験中であるが、V79細胞の実験と動物実験との間に、かなり相関がある事が予想される。又、金属イオン濃度の生体への溶出についても、アノード分極法により検査したが、ニッケルでは高濃度に組織内へ溶出している事が確認された。一方セラミック材料では、inーvitroとinーvivoの実験結果に相違がみられたが、これは、細胞毒性の発現の仕方が、金属材料と異なるためであると思われ、今後、細胞の種類を変えたり、超微速度映画撮影により鮮明していく予定である。
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