研究概要 |
生体材料の安全性に対する動物代替法の確立のために、in-vivo,in-vitro実験系の比較を行った。in-vitroの系では、金属材料として、チタン、バイタリウム、ステンレス等既に臨床に使用されている材料、ニッケル、バナジウム、モリブデン等細胞毒性の予想され材料、ニチノ-ル、アルミニウム、その他チタン合金等、将来的に臨床応用の可能性があったり、各種合金を構成している材料についても調べた。これらの材料を厚さ1mm,直径50mmの円板、半円板として、V79細胞によるコロニ-形成を指標として評価した。チタン系の合金はニチノ-ル以外すべて良好なコロニ-形成がみられた。ニッケル、バナジウム、モリブデンは、強い細胞毒性がみられた。培養液中の金属濃度も測定した。毒性を示す材料では、金属イオンの溶出がみられた。同一の材料をラットの筋肉内、骨内に理入した。ニッケルでは、材料周辺に腫瘍の形成がみられた。バナジウム、モリブデンは現在準備中であるが、in-vitroの実験系である程度in-vivoの結果の予想出来る可能性が、感じられた。又、アノ-ド分極による材料の評価法でも、毒性の強い順に、孔食腐食を生じる事がわかり、動物代替法の一法になる可能性があると思われた。アノ-ド分極による検査の際には、in-vivo,in-vitroの実験系を比較し、両者の間に差のないことも判明した。以上金属材料においては、未だ実験の不十分な点もあるが、動物代替法の一つの方法として現在の実験系が使用可能である可能性が示唆された。セラミック材料、高分子材料についても同様に行っている。16mm映画撮影装置にて材料の細胞に対する反応を調べているが、撮影条件を一定にする事が非常に困難で、現在、種々の方法を試みている。
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