1.ヒト軟骨の未知のコラーゲンのcDNAクローン、続いてgenomiクローンを分離し、その構造を決定した。同時に、ヒト軟骨組織より各種コラーゲンを抽出し、そのtrypticpeptidesのアミノ酸配列との比較から、我々が分離したcDNA及びgenomicDNAが、IX型コラーゲンのα2鎖をコードすることが明らかとなった。さらにこのα2鎖の遺伝子が、先に分離したα1鎖の遺伝子と異り、軟骨でのみ発現していることを知り得た(投稿中)。2.IX型コラーゲンのcDNA及び上記XI型コラーゲンDNAプローブを用いた軟骨形成異常疾患患者のlinkageanalysisは現在続行中である。3.当初65年度に予定していたIX型コラーゲン遺伝子導入transgenicmouseの作成を既に開始した。この目的はIX型コラーゲンの合成異常を有するマウスを作成し、軟骨形成異常疾患のモデルとしようとするものである。異常IX型コラーゲン遺伝子(ラットα1(IX)cDNAの3′半分のもの)を高率よく発現させるために、ラットのII型コラーゲン遺伝子のプロモーター、エンハンサーを使用した。これらを組み合わせたDNA constructがin vitroでは高率よく発現することを確認した。さらにこのcDNAをマウス内で発現し易くするために、その上流にβーglobinのintron配列を付け加えた。現在このDNA constructのマウス受精卵へのmicroinjectionを開始している。4.ヒトIX型コラーゲンα1鎖をコードするcDNAより推測されたアミノ酸配列に従って、オリゴペプチドを合成、マウスに免疫し、15個のモノクローナル抗体クローンを得た。このうち14個のクローンはIX型コラーゲンを特異的に認識した。これらを用いて、まずヒト正常軟骨組織を染色し、その結果ヒト軟骨の細胞外マトリックスが一様に染色されることを知った。現在この抗体を用いて異常軟骨組織の検討を行っている。
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