研究概要 |
1.ヒト軟骨に存在するIX型コラ-ゲンα1鎖、XI型コラ-ゲンのα1鎖に続いて,XI型コラ-ゲンα2鎖をコ-ドするcDNA及びgenomicDNAを分離し、この構造を決定した(J.Biol,Chem.264:13910ー13916、1989)。現在このXI型コラ-ゲンは軟骨内でII型コラ-ゲン線維形成に関与する事が考えられるようになっており、このコラ-ゲン遺伝子の異常と軟骨形成異常との関係が、強く示唆される。 2.種々の軟骨形成異常疾患々者から抽出したDNAを、我々が分離した上記の各DNAプロ-ブを用いてサザンブロット法を中心に分析してきた。軟骨形成異常疾患の1つであるSpondyloepphyseal dysplcsiaの発症がII型コラ-ゲン遺伝子の異常でおこり得ることが、つい最近明らかにされた。我々の分析でもこの疾患とII型コラ-ゲン遺伝子のlinkageが強く考えられた。しかし1つの家系列で、XI型コラ-ゲンα2鎖遺伝子が、他では見られないRFLPを示しており、これが欠失によるものか、さらにはこの疾患がII型コラ-ゲンのみならずXI型コラ-ゲンの異常でも発症しうるのかを現在検索中である。 3.IX型コラ-ゲン合成異常を示すtransgenic mouseの作製を試みてきた。軟骨で発現する事が認められているratII型コラ-ゲンのpromoter,cnhancerにratIX型コラ-ゲンα1鎖cDNAの一部をつないだmini gene constructを導入した5匹のtransgenic mouseを既に得た。このmouseにおいて、導入したα1(IX)鎖は軟骨組織で主に発現していた。現在F_1、F_2mouseを得、これらが加令とともに骨格異常を発症するかどうか、また導入発現した異常α1鎖が内在性のIX型コラ-ゲンα2、α3鎖とassociationして、早期の分解(protein suicide)、over modificationを受け、総IX型コラ-ゲン合成量を低下させているか否かを検討中である。
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