研究概要 |
1)軟骨型コラ-ゲンの1つであるIX型コラ-ゲンの合成異常を示すtransーgenic mouseの作製を試みてきた。これには軟骨組織中での特異的発現を司どることが確められているラットII型コラ-ゲン遺伝子のpromoter,enhancerを用い、これにラットIX型コラ-ゲンα1鎖、ヒトIX型コラ-ゲンα1鎖よりなるmini geneをつないだ。このmini geneは、5′側はヒト、3′側はラットのα1(IX)cDNAよりなり、中央部に欠損を有するhybrid geneで、in framcにつながっている。このconstructを約600個のマウス受精卵に注入し、43匹のF_0マウスを得た。このうち53匹が、2copy以上のtransgeneを有するtransgemic mouseであることが判明した。現在までにこれら3系統のうち2系統からF_1、F_2さらにF_3 miceを得ている。残る1系統は♀マウスであったが、不妊であったためovary transforを試みこれに成功し、現在F_1マウスを得ている。これら3系統のtransgemic mice及びその子孫において、明白な四肢短縮等の異常はない。しかしながら約15%のマウスに小眼球、角膜の脆弱性及び混濁が出現している。IX型コラ-ゲンをはじめとする軟骨型コラ-ゲンは、正常の眼でも発現することが知られており、導入したIX型コラ-ゲンα1鎖の異常発現が今回の眼の異常を引き越こしていることが強く示唆される。現在はそのメカニズム、殊に異常IX型コラ-ゲン3本鎖ヘリックス形成と、それに続く“protein suicide"による総IX型コラ-ゲン合成量低下の有無を検索中である。 2)軟骨形成異常に関与しうる軟骨のminorコラ-ゲンのcDNAクロ-ニングを試みてきた。既に我々がクロ-ニングしたヒトのα1(IX)鎖、α1(XI)鎖α2(XI)鎖に続いて、V型コラ-ゲンα1鎖のcDNAクロ-ニングに初めて成功した。
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