1.シュワン細胞の培養 実験動物(Wister系ラット、新生児、生後1〜5日)より坐骨神経を採取し培養した。培養開始後1〜2週間を過ぎると、線維芽細胞が増加するが、これは1mmunocytolysisやDNA合成阻害剤を使用しても完全に防ぐことは困難であった。したがって培養シュワン細胞を移植する時期は、培養開始後2週間以内とすることが適当と思われた。 2.シュワン細胞の確認 (1)倒立顕微鏡による形態学的観察、(2)電子顕微鏡による観察、(3)蛍光抗体法による観察を行った。しかしシュワン細胞の確認は、これらいくつかの方法の結果を組み合わせて考えざるを得ず、確実で完全な方法はないと思われた。 3.シュワン細胞の移植 実験動物はWister系ラット、体重250〜300gを使用した。シュワン細胞をゲル状物質に含め、これをシリコンチュ-ブ内に詰めた。ラットの坐骨神経に欠損部位を作製し、ここにシリコンチュ-ブを置き、経時的に神経の再生を観察した。しかし良好な再生を認めることはできなかった。ゲル状物質がラットの体内でシリコンチュ-ブより流出してしまうこと、これによるシュワン細胞の消失と変性、ゲル状物質そのものによる神経再生への障害などが原因として考えられた。
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