研究概要 |
末梢神経修復に際し,筋枝・知覚枝の各神経束を識別することは機能的予後を確実なものとするのに根本的に重要である。A.上肢における筋枝,知覚枝の識別について 1.実験的研究 成猫の前肢における〓骨神経深枝(筋枝)と浅枝(知覚枝)の識別な以下の結果により可能であった。i)椎問板刺激法(C5/6):まず筋枝のみから電位が導出された。ii)硬膜外後方刺激法(C_5):知覚枝から導出された電位はnonーsynapticな活動電位と後根反射電位からなり,筋枝からの電位はnonーSynapticな活動電位と単シナプス反射電位からなると考えられた。iii)椎間板導出法:知覚枝刺激ではC_<4/5>,C_<5/6>およびC_<6/7>高位において著明な第2陽性電位が出現するのに反して筋枝刺激ではその電位は得られなかった。この電位の起源は脊髄内電位の検討によって脊髄背面近くに存在することが示唆された。2.臨床応用 上位型〓神経叢損傷の神経修復術に際して,全身麻酔下(GOE^^<^>),C_<5/6>およびC_<6/7>椎間板ではC_7皮膚筋である中指刺激を行うこと,初期陰性成分に続く大きな陽性成分が観察されたのに反して,C_7筋節である上〓三頭筋々枝刺激によっては出現しなかった。この事実は実験結果ともよく一致した。B.下肢における筋枝,知覚枝の識別について 成猫を用いて以下の実験を行なった。馬尾硬膜外背側を刺激し,下腿三頭筋々枝および腓腹神経から下行性末梢神経活動電位を導出し,上行性馬尾活動電位と対比した。筋枝のH波は前者において観察されやすく,知覚枝の後根反射は前者でのみ観察された。下行性脊髄刺激法(上位腰髄)によれば,筋枝導出の電位群には単シナプス反射が含まれ,知覚枝から導出された電位群は,nonーsynapticな活動電位と後根反射電位から成ると考えられた。上記により両者の識別は可能であった。問題点 経皮的針導出によって馬尾一下行性末梢神経活動電位の臨床役用において,これら脊髄反射波はは誘発筋電位に隠されやすかった。さらに筋弛緩剤を用いても導出困難な例が多く認められた。
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