研究課題/領域番号 |
63480350
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
森岡 亨 熊本大学, 医学部, 教授 (30040140)
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研究分担者 |
田上 正 熊本大学, 医学部, 助手 (60145323)
竹下 次郎 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (60171633)
須加原 一博 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (20171126)
寺崎 秀則 熊本大学, 医学部, 助教授 (30040562)
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キーワード | 呼吸不全 / 膜型人工肺 / 呼吸補助 / 血液凝固 / ECMO / ECLA / ECLHA / 体外循環 |
研究概要 |
膜型肺による長期呼吸管理の研究が結実し始め、臨床応用への機運が国の内外で高まってきた。本法は原理こそ開心手術のための人工心肺と同じで、装置としてはより単純であるが、数日数週に及ぶ応用面では、全く様相を異にする難しい問題があり、従来は、しばしば大出血を伴い多臓器不全を招いて患者が死亡することが多かった。 我々は昭和63年度中に、体外循環回路内面にヘパリンボンディングを施した装置を使用してヤギその他による動物実験を反覆し、血液凝固能血小板数の推移、出血傾向などの面から検討を加え、ヘパリン節減効果と安全性を確認しえた。脱送血を円滑に行うための超薄壁スパイラルチューブの試作改良を指導し、一般に入手できるようにした。 一方、体外循環中には血液が長時間にわたり光りに暴露されるので、その影響を調べるための装置を考案、発表し、光の生物学的影響につき注意を喚起しえた。1週間以上にわたる長期体外循環面、スムースに行う限り、肺に特別の病変を生じないことを証明しえた。 かような動物実験により本法の安全化が確認された時点に、たまたま通常の人工呼吸法では死が迫った新生児呼吸不全症候群に遭遇したので本法を適用し、救命しえた。また、開心術後の低心拍出状態で循環の維持も困難であった患者に本法を応用し、従来はすべて死亡していたこの種の症例中から初めて2症例を救命しえ、本法が単に呼吸補助としてばかりでなく循環補助の意味でも極めて有効な生命維持装置たりうることを経験し、このように循環補助をも含めて実施する場合には、extracorporeal lung and heart assist:ECLHAと呼んで区別するのが良いであろうと国内のみならず海外での学会にも提案した。このような実績の上で、全国の呼吸不全対策研究者に呼びかけ、膜型肺による呼吸管理に関するワークショップを行い、本研究成果の伝達をはかった。
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