研究課題/領域番号 |
63480351
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
寺崎 秀則 熊本大学, 医学部, 助教授 (30040562)
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研究分担者 |
橋口 清明 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (10180811)
江崎 公明 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (80151976)
竹下 次郎 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (60171633)
大津 哲郎 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (40152178)
岡元 和文 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (60093994)
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キーワード | 膜型人工肺 / 小型化 / ヘパリン結合 / 抗血栓性 / 長期体外循環 / ECLA / 呼吸不全 |
研究概要 |
1.超小型膜型人工肺の開発、性能、安全性研究:ポリオレフィン系の緻密膜中空糸外部灌流式膜型人工肺を開発した。この人工肺の膜面積は0.2m^2、全体のサイズは5×4×8cmで、充填量を20mlに小型化できた。膜面積は従来の人工肺中最少であるが、1200ml/分の静脈血のガス交換が可能である。血液灌流抵抗は約20mmHg/1200ml/分と非常に低くすることができた。緻密膜中空糸であるから、従来の多孔質中空糸の人工肺の欠点であった気相への血漿リ-クと気泡混入を完全に防止でき、ほぼ研究計画通りの新しい小型高性能人工肺を開発できた。イヌならびにヤギを用いた長期ECLAでその性能と安全性を確認した。 2.超小型人工肺のヘパリン結合処理とその有効性の研究:この人工肺にスウェ-デンのカルメダ社技術でヘパリン結合処理を実施し、同様の処理をした回路と組合せてイヌで長期ECLAを実施した。ヘバリンの必要量は通常のECLAの場合と比較して1/5に減少でき、術創からの出血を完全に防止できた。しかし、人工肺入口に多数の血栓形成を認めた。人工肺膜面のヘパリン結合処理が不完全であったと考えられるので、今後さらにヘパリン結合処理法を検討する必要がある。 3.超小型膜型人工肺による長期ECLAの臨床応用研究:新しい人工肺の安全性と有効性を多数の動物実験で確認後、麻疹による肺炎で重症呼吸不全に陥った1歳2カ月の男児に救命の目的でこの人工肺を2基用い、長期ECLAを実施した。約1カ月たった時点でも、この人工肺による長期ECLA(VーAバイパス)で安全に生命と意識を維持できており、われわれが開発した超小型膜型人工肺の安全性と有効性を臨床例でも立証できたと考えられる。
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