研究課題/領域番号 |
63480356
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
桑原 正明 東北大学, 医学部, 助教授 (50006780)
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研究分担者 |
福士 泰夫 東北大学, 医学部, 助手 (50189932)
高山 和喜 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (40006193)
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キーワード | 衝撃波 / 生物学的影響 / 癌治療 / 移植膀胱癌 / 移植足尖癌 / 動物実験 |
研究概要 |
当該年度の研究によって以下の事項を明らかにした。 1)集束衝撃波の正常組織に及ぼす影響 犬の腎実質(corticomedullary zone)に衝撃波を照射して病理組織学的な検討を行った。急性実験の摘出腎血管造影では動脈シャントが形成されている所見が得られた。慢性実験では障害を受けた部分の腎実質は瘢痕性に萎縮していた。この結果から集束衝撃波は脈管系の変化を介して組織損傷を発生させるものと思われた。 2)集束衝撃波の移植性癌に及ぼす影響 i)Mousehind foot-padに移植したmammary catcinoma(MM48 cells)に衝撃波を照射した実験では腫瘍の増大にはほとんど影響を及ぼさなかった。しかし組織学的な検討では小血管の破錠による出血とその周辺部における組織損傷が認められた。 ii)家兎をもちいたV2癌細胞の移植による実験膀胱癌に対する衝撃波の照射実験では一回のみの照射では大きな変化は見られなかったが、2-5日間の連続照射では著明な腫瘍の壊死像が認められた。すなわち、家兎膀胱の2ヶ所に腫瘍細胞を移植して実験膀胱癌モデルを作製し、その1ヶ所に2000shot照射して1週間後に屠殺した標本では照射した腫瘍では照射した腫瘍に限局的な壊死を認めたが腫瘍の大きさは照射しなかった部に比べ差を認めなかった。しかし、2000-6000shotsを2-5日間連日照射したものでは対照に比べ著明な腫瘍の壊死と縮小を認めた。 以上の実験により固形癌に集束衝撃波を照射すると癌組織が壊死に陥ることが明らかになった。今後は衝撃波を照射した正常組織、癌組織の電子顕微鏡による観察を行い、細胞の微細構造レベルにおける変化を明らかにしたい。
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