研究課題/領域番号 |
63480357
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
加藤 哲郎 秋田大学, 医学部, 助教授 (40004642)
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研究分担者 |
斉藤 昌宏 秋田大学, 医学部, 助手 (70162229)
綿貫 勤 秋田大学, 医学部, 教授 (30004550)
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キーワード | cーerbBー2 / 免疫組織化学 / 予後因子 / 遺伝子増幅 / 尿路上皮癌 / 移行上皮癌 |
研究概要 |
平成元年度までに、膀胱癌ではcーerbBー2産物が組織異型度の高い部分と浸潤癌先進部に高率かつ強陽性に発現するので、癌の悪性度の指標となる可能性を示唆した。そこで本年度は膀胱癌におけるcーerbBー2の発現をretrospectiveに検索し、患者予後との相関を検討した。 抗cーerbBー2ポリクロ-ナル抗体を用いて、尿路上皮癌のホルマリン固定パラフィン包埋組織標本の免疫組織染色(ABC法)を行った。本染色の陽性例では同標本からDNAを抽出し、dotblot hybridizationによりcーerbBー2の増幅を検索した。 その結果、尿路上皮癌91例において抗cーerbBー2抗体は24例(26%)で陽性であった。G_1、G_2ならびにG_3腫瘍の陽性率はそれぞれ16%(5/31)、19%(6/31)および45%(13/29)で、異型度の高い腫瘍に本遺伝子産物の発現頻度が高かった(p<0.05)。また、cーerbBー2産物陽性例でDNA抽出が可能であったのは5例で、遺伝子増幅はそのうち2例に認められた。中央値48(12〜120)カ月の観察期間中にcーerbBー2陽性11例、cーerbBー2陰性15例が死亡し、5年生存率は前者で46%、後者で71%となり、cーerbBー2陽性例の生存期間が有意に短縮していた(p<0.05)。 以上から、1.cーerbBー2産物発現は組織異型度と相関した。2.本産物発現には遺伝子増幅以外の機序も関わることが示唆された。3.本産物発現が患者予後と相関したことから、尿路上皮癌の悪性度の指標になりうると考えられた。
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